
ウラ面
戦争に行かないで、選挙に行こう! 2017.10.14
先月、安倍首相が突然の解散総選挙を宣言した。なぜ今なのか、わからな
かった。選挙は莫大な費用がかかるというのに、いとも簡単に首相の考えで
決定されるのか。そう思うと、昨年の安保法案、戦争法案と呼ばれる憲法違反
の法を、憲法学者や国民の過半数の反対の声を無視して強行採決したように、
戦争も首相の権限でいとも簡単に日本を(米国の)戦争に巻き込むのかもしれ
ないと思うと、そら怖ろしくなる。
なぜ、突然の解散か。安倍首相の森友・加計問題の不祥事を隠蔽しようと
いう目的と、北朝鮮のミサイル発射の過剰反応で国民の不安を煽っておいて
(これも宇宙空間ほど高度へ発射らしく、日本だけが大騒ぎとか)、だから武装が
必要だと改憲に持ち込もうという思惑が見える。事実、自民党は今度の選挙で
改憲を公約。首相の自信満々の解散総選挙だったが、小池百合子東京都知事の
新党結成で暗雲が。その「希望の党」は、原発ゼロ、消費税増税は延期、待機
児童ゼロと、一見庶民が喜びそうな公約を並べるが、しかし狙いは改憲である。
民主党を150億円の持参金付きで取り込み、民主党の中でリベラル派(改憲
に反対)を排除すると言い、安保法案や改憲に賛成する新党の政策協定書に署名
せよと、どこの時代の踏み絵か。自民党と何ら変わらず、自民党の補完勢力で、
いずれ一緒に改憲を通すのは目に見えている。(大体、そんな政治資金があった
とは。選挙費用~衆院選1回で約650億円~も含め、その税金を被災地や福島
などで生活に苦しんでいる人たちを助ければいいのに!)
「小池はやばい、安倍よりも独裁者になる」という懸念の声も聞こえる。奇しくも、
2005年に総務省が作った選挙啓発短編映画(20分)が、「希望の党が独裁政権に!
投票に3回行かないと死刑、娘は徴兵制で戦場へ」 と、なんと同名で現代を予告
していたかのような内容が不気味である。
選挙で選ばれた政治家で、国の方針が決まる。国際社会の対応や、私たちの生活
にも大きく影響を与えるのが国政である。だからこそ、どこに投票しても変わらない
とか、投票するところがないと棄権せずに、しっかり公約を見て、選ぶことが重要だ。
棄権は大勢にYESである。
「戦争と私たちの国が戦争の準備を進めることに反対します」と明言するフォト
ジャーナリズム月刊誌DAYS JAPANの10月号は、沖縄特集。沖縄の絶滅
危惧種262種が生きる貴重な自然豊かな海が、辺野古の新基地建設で埋め立て
られ破壊されることを伝えている。
「海は、生命の根源です。だから人間のおごりで自然を壊せば、いつかは自然
にやられるんじゃないかと私は思うんです。海を破壊して基地を造ろうなんて。
まして破壊の最たるものは戦争ですよ。それに加担するようなことをしたら、
いつか自分たちの首を絞めることになるのではないでしょうか」と、新基地
反対の座り込みに参加した男性。米軍基地の前で反対を訴えて毎日座り込みを
続ける島袋文子さん(88歳)。その文子おばぁが参議院議員会館での講演
「辺野古の“文子おばぁ”がやってくる!」の記事も必見。
「70年前の戦争で、食べるものも何もない、飲む水もない、私は生きるために、
死んだ人間の血を混じった泥水を飲んで生きてきたものです。(中略)だからね、
私は安倍さんに、そんなにまで戦争がきる国を作るのだったら、あなたは死んだ
人間の血が混じった泥水を飲んできてからやれと言いたいんです。それだけは
言いたい」
「憲法九条をなくすなんてとんでもないことです。九条があったからこそ今まで
戦争をしなくて皆さん生きているんじゃないですか?私たちは二度と戦争はやって
はいけないと思っているんです。ですから、命を懸けて、(米軍キャンプの)
ゲート前に座っているんです。家庭も何もかも犠牲にして、毎日あのゲート前で
座って、機動隊にごぼう抜きされて排除されて(略)頭を打って救急車で2回も
運ばれて…。けれど、基地を止めない限り、私は死んではいけないと思っています」
「自分の子どもや孫の命を守るためだったら、どこの国にも基地はおいてはいけ
ないです。基地があるゆえに、戦争は起きるんですから」
かつて沖縄の米軍基地から米軍機がベトナム戦争やイラク戦争などに向かった。
海からも陸からも爆弾を自由に積めて軍事力が強化される巨大な米軍の新基地から、
またどこかの戦場に向かうのだろうか。それも、新基地建設のための費用は日本の
税金で賄われるのだ。私たちが納めた税金が、生命の海を壊し、どこかの国の女性
や子どもたちをも殺しに行くために使われる。それを、黙ってみていていいのだろうか。
安倍首相は、「北朝鮮に、対話でなく武力で抵抗する」という言葉に耳を疑った。
武力では解決しないどころか、核戦争に発展する怖れがある。日本は原発大国で、
原発が狙われたら広島や福島の比ではない。日本は唯一の被爆国なのに、核兵器
禁止条約に同意しない。米国が反対しているから。米国は以前沖縄に大量の核兵器
を配備。戦争になれば、米国は日本を守らないと専門家は言う。もう米国のポチ
より国民を向いて。
昨年おいものお話会に招いた三田照子さんは、100歳を前に春に天寿を全う
された。人々の幸せを願い、過酷な戦争体験を語り、文章を書き続けた。
「私共は、何があっても戦争だけはしてはならない。戦争ほど全ての人を不幸にし、
悲しませるものはない」(花巻協会だより)と、最後の一文。
昨年の安保法案で、南スーダンへの派遣から戻った自衛隊員が自殺した。政府は
安全地域というが、マスコミも真実を公表しない。厳しい紛争地域だったと想像
される。米国では、イラク戦争やアフガン戦争からの退役兵士がPTSD(心的外
傷後ストレス障害)で戦場の記憶に苦しみ続け、年間8000人が自殺している
(DAYS 8月号)。日本が72年間戦争をしないで来たのは、戦争放棄の憲法
九条があったから。それで各国からの信頼もあったが、改憲し、米国の基地がある
以上、海外でも国内でも日本人がテロの標的になりうる。NGОやジャーナリスト
も危険にさらされる。
10月22日の衆議院議員選挙で、一番の争点は改憲問題である。よく考えて、
投票に行こう。そして、命をかけてあたりまえの暮らしを守ろうと闘っている人の
話を聞き、国の政策の何が問題なのかを知ろう。11月24日・25日、沖縄平和
運動センターの山城博治さんが岩手に来る。山城さんはステージ4の癌の病を抱え
ながら、5ヶ月間不当拘留され、全国を講演に奔走する。(DAYS6月号) 沖縄
に、日本の問題が凝縮されている。