おいものせなかだより11・12月号がようやく発行できました。

ウラコラム 2024年11月14日
人がやることとは思えない!~イスラエルとパレスチナ イスラエルによるパレスチナへのジェノサイド(大量殺りく)で、2023年10月からこの1年間でガザのパレスチナ人の死者4万人以上、餓死者6.7万人も含めると10万人以上の死者。7割は女性や子ども。住民の避難所や病院も爆撃した。薬もない、医療者も拘束されて、骨が飛び出た子どもに手術もできない。それは今に始まったことではない。私は20年以上パレスチナ支援のオリーブオイルのフェアトレード販売をしてきたが、何もわかっていなかった。そんな私(たち)の無知と無関心が、76年間に及ぶイスラエルの占領と暴力、戦争犯罪を許し放置してきたのではないか。
もともとパレスチナではアラブのキリスト教徒、ユダヤ教徒、イスラム教徒が共に暮らしていた。しかし19世紀後半以降、ヨーロッパのユダヤ人の間で始まった「シオニズム運動」(ユダヤ人国家建設を至上価値に民族主義運動)により、パレスチナへのユダヤ教移民が急増する。1947年国連分割決議案で、当時6%しか土地を所有していなかったユダヤ人に57%の土地を与えると決まった。その中にはヨルダン渓谷等、水資源が豊かで農業に適した土地や港町が含まれていた。アラブ側は決議案を拒否したが、ユダヤ人側は受入れ、翌年建国を宣言して1948年5月にイスラエルを建国。ユダヤ人武装組織はアラブの村を襲い、住民を虐殺。この時531村が破壊され、70万人が難民となる。この出来事をパレスチナの人々はナクバ(大災厄)と呼ぶ。状況が落ち着いたら帰れると思っていた人々は着の身着のまま逃げた。
※1948年12月国連総会で「難民の帰還権」が可決。しかしイスラエルはこれを認めおらず、パレスチナ難民は未だに故郷に帰ることができていない
1948~49年第一次中東戦争でアラブ連盟との間で闘われた戦争の結果、イスラエルは国連分割案よりも多くの土地を手に入れた。1967年第三次中東戦争で圧勝したイスラエルは、ヨルダン川西岸地区、ガザ地区、ゴラン高原を占領。パレスチナの土地は0%になり、この戦争で新たに35万人以上が難民となる。1993年オスロ合意でパレスチナとイスラエルの和平協定が結ばれたが、イスラエルは協定を無視し、ユダヤ人入植地を増やして和平でなく占領体制を恒久化した。イスラエルによるパレスチナ人の民族浄化は時間をかけて継続し、今もなお進行中だ。
※民族浄化とは、虐殺、追放などで、特定の民族をその空間から排除すること。第二次世界大戦中のドイツナチスによるユダヤ人のホロコーストがそれである。
ユダヤ人入植地とはイスラエルが占領した土地に建設されたものを指し、国連は入植地の建設は国際法違反としているが、イスラエルは占領地への入植を拡大し、約70万人の入植者がいる。入植者からパレスチナ人コミュニティへの暴行、銃撃、家屋破壊、放火等、過去10年間で3372件の入植者による暴力事件が発生。イスラエル治安部隊もこの暴行に積極的に加担し、恣意的に拘束をする。農業に適し水資源も豊富で肥沃な、パレスチナ農民の農地は奪われ、移動の制限や外出禁止令、住民は日常的に水や電気、医療、教育などを妨害されている。
2002年イスラエルが、防御壁という名目で高さ約8mのコンクリートブロックや電流フェンス等を建設した。分離壁(アパルトヘイト・ウオール)には数百mごとに監視塔が立つ。2004年国際司法裁判所は「分離壁の建設は国際法違反である」との勧告を出し、壁の即時撤去と、既に生じているあらゆる損害に対しての賠償を認定したが、イスラエルはその勧告を無視し続けている。ガザは長さ50㎞、幅5∼8㎞の小さな地区に人口230万人、8つの難民キャンプがあり、人口の75%が難民。周囲を軍事フェンスで囲まれ、イスラエルに完全封鎖されたガザは、「天井のない監獄」と呼ばれる。封鎖とは、人と物資の出入りが著しく制限され、経済基盤が破壊され、失業、貧困、栄養失調が起きている。数年に一度イスラエル軍は大規模なガザ攻撃を繰り返し、農地、漁港、発電所、病院、学校等を徹底的に破壊してきた。昨年10月7日ハマスの越境攻撃は、拘束されている4500人のパレスチナ人の解放を求めてといわれる。イスラエルはハマスによるテロとみなしテロ集団壊滅を目指して報復していると報道されるが、ハマスはテロ組織ではない。住民に選挙で選ばれた政党で、紛争の被災者や子どもの教育等福祉に携わる社会事業団体である。
2018年、ガザで「帰還の大行進」という非暴力の平和的デモが行われた。難民となった「ナクバ」から70年目の節目に、ガザを統治するハマスほかガザの様々な党派が一緒になって呼びかけて、イスラエルとの境界付近を行進する。この大行進で掲げられた主張は3つ。①難民の帰還の実現 ②国際法違反であるガザ封鎖の解除 ③当時トランプ大統領が国際法を踏みにじってアメリカ大使館を聖地エルサレムに移転し、首都と見なしたことへの抗議。その平和的デモにイスラエル軍は銃撃し、死者150人、医療者・子どもを含む負傷者1万人が出た。イスラエル軍は意図的に若者の脚を狙い、片足ないし両足を切断させて障がい者にするという戦略。それも病院には麻酔がないから、麻酔なしで切断する。
2024年10月28日、パレスチナ難民への人道支援を担うUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)の活動禁止がイスラエル国会で可決された。活動にはイスラエル側の許可が必要なことから、人道支援物資の配布や医療活動などが大幅に制限される恐れがある。先進国7か国の外相は法案を懸念する共同声明を出している。米国はイスラエルにこの間約3兆円の武器支援をしている。日本の年金がイスラエルの国債やイスラエルに加担する企業の投資に数千億円も使われている。イスラエル支援企業の不買運動や署名、寄付、発信、フェアトレードなど、私たちにできることはある。2024年10月イスラエルはハマスの指導者や連帯するヒズボラの指導者を次々殺害し、それを支援するイランの軍事施設を攻撃した。日本は中東に90%石油を依存している。他人(ひと)ごとではない。おいものブログではパレスチナ支援の多様なサイトを紹介する。
参考文献「ガザとは何か」(岡真理)、「ハマスとガザ戦争」(高橋和夫)、週刊金曜日10/4「イスラエル止まらぬ虐殺と破壊」、マクルーバ「知ってつながる資料編」
パレスチナを知る、支援するサイトについては、明日以降紹介します。参考にした本と資料から抜粋した文章でまとめさせてもらいました。足りないことろも多いと思います。何かご意見やご助言がありましたら、ご連絡ください。